離婚・親子問題

別居中の夫が子供を連れ去った!子供を取り戻すためにはどんな方法があるの?

2017.07.15
離婚・親子問題|弁護士ニュース

離婚に際して子供の親権をどちらが持つかで熾烈な争いになることは珍しくありません。なかには,別居中の妻の下にいる子供を夫が幼稚園から連れ去ってしまうという例もあります。このように,子供をもう一人の親権者に連れ去らわれたときにどのような対応をすべきなのでしょうか?まずは話し合いという方法が思いつくことかと思いますが,このような状況になっている以上,話し合いでの解決は難しいでしょう。そこで,今回は,子供の引渡請求をするための方法をご紹介したいと思います。

1 どんな方法があるの?

 話し合いで解決が出来そうにないときは,法律上の手続きを利用して子供の引渡しを求めることになります。
 別居中の夫婦間において子供の引渡しを求める方法としては,①家事事件手続法による子の監護に関する処分としての子の引渡しを請求する方法,②人身保護法による方法,③未成年者略取又は誘拐罪による刑事告訴などがあります。
 以下では,これらの方法について詳しくご紹介したいと思います。

2 ①家事事件手続法による子の引渡し請求

(1) 子の引渡しを求める家事審判、家事調停

 子の引渡し請求は,家庭裁判所に対して家事審判の申立てをすることができます。この場合の管轄は,子の住所地を管轄する家庭裁判所とされています。なお,審判だけでなく調停(裁判所を入れた話し合い)を申し立てることも可能ですが,この方法を選択すると1ヶ月に一回のペースで話し合いを進めることになってしまい,迅速性に欠けることから,あまり選択することは多くないと言えます。
引渡しを認めるか否かにあたって家庭裁判所は,夫婦で養育をしていた当時の子供への妻と夫の関与の程度や内容,妻が子供を実家に連れ帰った理由や経緯,妻の実家での子供の養育状況,夫への子の引渡し及び夫と子との面接についての妻の意向・子供の意向(子の年齢が上がるにつれて子の意向が重視されることになります。),夫が引渡しを受けた場合に予定されている子の養育の方法,内容,離婚の可能性や離婚した場合の親権者としての適格性などといったものを総合考慮して,子供の引渡しを認めることが子供のためになるかどうかという観点から裁判官が決定することになります。そのため,家事審判の申立書では,この視点に沿う主張・立証を的確に行う必要があるので,専門家の協力が必要になってきます。

(2) 保全処分

 子に差し迫った危険があるなど,現状を放置していたのでは調停や審判による解決を図ることが困難になるというような事情がある場合,併せて,仮に子の引渡しを命ずる審判前の保全処分の申立てをすることもできます。

(3) 子供の引渡しが認められたのに相手が従わなかったらどうするの?

 家庭裁判所による審判や保全処分が出ても,相手方がその決定に従わない場合,一定の要件の下で直接強制(子供を奪った親の下に行って,子供を連れてくる方法を言います。)をすることが可能です。どのような場合に要件が備わっていると考えられるかは,子供の年齢が重視されており,小学校低学年程度の年齢であれば直接強制も可能であると判断される傾向にあるようです。
 なお,親が子供を抱きかかえて離さないような場合は,間接強制と言って金銭を支払わせるという心理的圧迫を加えて履行させる方法によることになります。しかし,この方法には,金銭の支払いを厭わない人や逆に資力の乏しい人には効果がないという難点があります。

3 ②人身保護法による方法(人身保護手続)

 人身保護手続は,拘束されている人の自由を回復するための手続きです。そのため,現在の監護者による子の拘束に顕著な違法がある場合,人身保護請求手続を利用する余地があるとされています。
人身保護請求手続は,手続が非常に迅速であること,相手方の出頭を確保するための身柄の拘束などの手段が用意されていることといったメリットがあります。殊に子供の引渡しについて,拘束者が判決に従わない場合,2年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられると規定されており,実現性が高い手続となっています。
しかし,夫婦の一方が他方に対し,共同親権に服する幼児の引渡しを人身保護手続によって請求する場合,「他方の配偶者の監護につき拘束の違法性が顕著であると言うためには,その監護が,一方の配偶者の監護に比べて,子の幸福に反することが明白であることを要する」とされており,離婚前の夫婦においての利用はかなり難しいと思われます。実際,最高裁が顕著な違法があるとして子の引渡しを認めた事案は,いずれも調停期日において成立した合意に反して実力で子を拘束したというものであり,共同親権者間の子の引渡しを巡る事件で人身保護請求手続による救済が可能なのは,調停や当事者間の合意等により監護者が定められたにもかかわらず,その調停や合意等に反して,子を連れ去ったり,子を引き渡さないというような極めて限られた事案のみということになると考えられるでしょう。

4 ③未成年者略取又は誘拐罪による刑事告訴

先程述べたような民事上の手続きだけではなく,実質的に引渡しを受ける方法として,刑事手続により解決する方法もあります。実際,親権者であったとしても,無理やり連れ去ってしまうと,未成年略取罪という犯罪が成立する可能性がありますので注意して下さい。

5 まとめ

 以上のように,話し合いで解決できなかった場合,基本的には,家庭裁判所を活用した方法をとることになります。裁判所は監護権者(子供の世話をする人)を判断するにあたって「監護環境の継続性」を重視しています。そのため,子供を連れ去らわれたときは,一日でも早く対応をすることが何よりも大事になります。また,すぐに対応しようとしても法律の専門家ではない場合や専門家であっても十分なノウハウのない弁護士であれば迅速に対応することができません。
 よって,お困りの場合は一日でも早く経験豊富な弁護士に相談するようにしてください。

以上

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