離婚・親子問題

内縁ってなあに?一緒に住んでるんだから夫婦でしょ?

2017.05.09
離婚・親子問題|弁護士ニュース

入籍していなくても,長年付き合っている方というのは大勢いらっしゃいますよね。法律事務所には,「私たちもう5年も同棲しているのだから,実質的に結婚しているといえないのかしら?法律的にはどんな状態なの?」といったお悩みを抱えてらっしゃる方もいらっしゃいます。今回は,入籍はしていなくても,事実上の夫婦といえるような場合に,法律上どのように扱われるかについてお話ししたいと思います。

1 内縁ってなあに?

内縁とは,婚姻意思を持って生活を営み,周りから見れば夫婦と同視できる状況にもかかわらず,婚姻届を提出していないため,法的には夫婦と認められない男女関係をいいます。
ここで,内縁関係か否かは,夫婦生活の実態とその継続性,性的関係の継続性,子供の有無,家族や第三者への紹介,見合い・結納,挙式など,慣習上の婚姻儀礼の有無などを総合的に考慮して判断することになります。

そのため,具体的な事案を見てみないとわかりませんが,ただ5年同棲しているだけというのでは内縁の妻ということは難しいかもしれません。(同棲の年数も重要な要素の一つではありますが,必ずしもそれだけで内縁かどうかが決まる訳ではありません。)今回は少し踏み込んで,具体的な事案を紹介してみたいと思います。

2 事例の紹介

 私の彼は既婚者なのですが,奥さんとは上手く行っておらず別居しています。そして,彼から「妻とはもう別れるから結婚しよう。」と言われたので,その言葉を信じて半年ほど同棲していました。しかし,ある日,彼は「やはり妻と別れることはできない。」と言って,家から出て行ってしまいました。私たちの関係は,内縁といえると思います,何か法律上の保護を受けることはできないのでしょうか?

3 事例への回答

 今回の相談者は,彼との結婚を考えながら同棲していたにも関わらず,一方的な理由で別れを告げられ,精神的に傷付けられてしまいました。もし二人が内縁関係にあると認められるのであれば,相談者は,彼に対して内縁関係の解消に伴う損害賠償を請求することができるかもしれません。(内縁関係にないのであれば,自由恋愛で分かれただけの話になってしまい,何か慰謝料が発生する特定の事情がない限りは,損害賠償という話にはなりません。)そのため,まず両者の関係が内縁関係にあるかを検討してみたいと思います。

 今回の事例の場合,同居期間が約半年と短く,しかも奥さんもいることから,二人の間に婚姻意思があることを証明するのは難しいと思われます。もっとも,住民票に「妻(未届)」と記載されていたり,家族や友人などが夫婦としてあなたたちを認識していたり,挙式などをしていたりしたのであれば,内縁関係が認められるかもしれません。実際に,1か月の同棲でもその他の事情から内縁関係を肯定した審判例もあります。

 もっとも,今回のハードルは,それだけではありません。相手の男性に妻がいて,婚姻関係にあることも問題になります。
 上でも述べたように,内縁とは,夫婦共同生活上の実態が必要ですから,法律上の婚姻関係が破綻している必要があるように思えます。しかし,裁判所は,当事者間の不当な内縁解消の場合には,重婚的であることはあまり問題にしない傾向にあります。したがって,彼が奥さんとの籍を抜いていない点は,それほど重要視しなくても良いかもしれません。ただし,彼が本気で結婚する気があるのであれば,奥さんとちゃんと離婚しようとしていたでしょうから,彼と奥さんが離婚調停を行っていた等の事情があるはずです。結局,内縁が認められるためには,必ずしも彼が奥さんと離婚している必要はないのですが,彼が奥さんと離婚しようと必死に行動していることは,内縁が認められるためのプラス要素となります。

 以上のとおり,今回のケースでは,半年間同棲していたという事実以外に何らのプラス要素もないと仮定すれば,内縁関係の成立が認められることは難しいと思われます。
もっとも,同棲期間が短いこと,彼が既婚者であること等を考慮すれば,仮に内縁関係が認められたとしても,内縁関係解消に伴う慰謝料はあまり高額にはならないと思われます。

4 まとめ

内縁関係が成立するかどうかの認定は,極めて多種多様な事実関係を用いて行いますので,その論理を組み立てることも証拠を収集することも非常に難しいものです。結局は,彼との出会いから現在までを詳細に伺い,内縁関係成立に有利な事情と不利な事情を選り分け,それらを証明するための証拠を収集し,過去の裁判例を踏まえながら戦い方を考えて行かなくてはなりません。
このような男女問題に関しては,過去の経験値やノウハウがなくては適切なアドバイスが難しい分野です。必ず離婚・内縁・慰謝料等,多数の男女問題を扱っている弁護士事務所にご相談されることを強くお勧め致します。

以上