離婚・親子問題

どうやったら離婚できるの?(1)-離婚の仕方あれこれ

2017.07.28
離婚・親子問題|弁護士ニュース

厚生労働省が発表した平成28年の人口動態統計の年間推計によれば,同年の離婚件数は,217, 000件にのぼるとの見通しがでています。これは婚姻した夫婦の約1/3が離婚していることになります。このように離婚はすでに身近な問題になっているといえます。
もっとも,離婚といっても実はいくつかの方法があり,どのような手続きが必要かご存じではないという方も多くいらっしゃると思いますので,今回は,離婚の種類とそれぞれの具体的な特徴についてみてみたいと思います。

1 離婚にはどんな方法があるの?

まずは,離婚の方法としてどんなものがあるかについてお話ししますね。離婚には,①協議離婚,②調停離婚,③審判離婚,④裁判離婚の4種類があります。以下では,それぞれの離婚について特徴を説明していきたいと思います。

2 ①協議離婚について

協議離婚とは,裁判所が介入することなく,当事者同士で話し合って離婚するかどうか,条件をどうするのかについて決定して離婚届を役所へ提出するものをいいます。離婚する夫婦の約90%がこの協議離婚をしています。
協議離婚においては,全てが夫婦の話し合いに委ねられているので,離婚に至る理由等は関係なく,財産分与や慰謝料,養育費等についても柔軟な取り決めが可能です。そのため,協議離婚では,夫のいびきがうるさいとか妻の寝相が悪いとか,そういった後述の裁判離婚では認められないような理由でも離婚することができます。
もっとも,条件については,文書に残しておかないと後々相手方から,「そんな約束はしていない。」等と言われて離婚後にもめることにもなりかねません。ようやく離婚できたのに,また相手方と連絡をとらないといけないという事態は相当なストレスでしょう。また,もめていないケースであっても,単純に条件面について双方の認識に齟齬が生じないようにするために,離婚協議書(離婚時の様々な取り決めを記載しておく文書)は作っておくべきでしょう。特に,養育費や慰謝料の支払い等の取り決めに関しては,相手方がその支払いの約束を守らなかったときに強制執行ができるよう,必ず公正証書にしておきましょう。
以上のように,協議離婚を行うに当たっては,当事者間で離婚の合意をし,離婚届を役所に提出するだけでよく,裁判所は全く関与しません。そのため,協議離婚は最も簡易かつ低コストに離婚できる方法と言えます。しかし,逆に言えば,当事者の合意で自由に取り決めができるため,離婚の条件として取り決めた内容が専門家からみれば適正とは言えない内容であったり,取り決めておくべきことについて取り決めがなされていなかったり,取り決めたけれども取り決めの仕方が不十分であったりといったリスクを抱えています。
そのため,離婚するか否かについて揉めているケースはもちろんですが,離婚すること自体に争いがないケースであっても,条件面が適正か否かについて,一度,専門家の弁護士に相談されることをお勧めします。

3 ②調停離婚について

では,協議離婚がどうしてもできない場合にはどうすればいいでしょうか?
このように夫婦間で話し合っても離婚について合意が得られない場合や離婚自体は合意できても諸条件について合意が得られなかった場合には,家庭裁判所での話し合いの手続である調停を,家庭裁判所に対して申し立てることになります。
調停においては,調停委員という第三者を仲介役にして話し合いを進めることになりますので,協議離婚と比べれば,感情的にならずに冷静に話し合いができるというメリットがあります。また,調停がまとまった場合は,判決同様の法的効果を持つ文書(調停調書)を作成することになるので,裁判所の関与の下きちんとした取り決めをすることができます。もっとも,調停は1カ月に1回程度のペースでしか進まず,1回の調停も2時間程度しか時間がとれないため,協議離婚に比べて解決までに時間がかかってしまう傾向があります。また,調停調書に記載できる内容や形式に制限があることから,協議離婚の場合に比べて柔軟な取り決めをすることは難しくなります。
なお,調停は,調停委員の関与の下,裁判所で行われますが,あくまで話し合いですので,協議離婚と同様,合意が整わなければ離婚はできません。また,調停委員は,必ずしも弁護士や裁判官等の法律の専門家ではありませんし,あくまで中立的な立場ですので,離婚についての想いや条件面について自分の立場を代弁してくれる存在ではありません。ですので,ご自身の想いをしっかりと相手方に伝えるため,調停で協議を進めている離婚条件が適正か否かを判断するため,弁護士を代理人として同行させることをお勧めします。

4 ③審判離婚について

調停が不成立に終わってしまった場合,通常は④裁判離婚の手続に移行するのですが,お互い離婚自体については合意してはいるのに,養育費などの付随的な内容に若干の意見の相違があるだけで,わざわざ裁判まで行うことは現実的ではないでしょう。そこで,離婚については合意しているけども,その他の諸条件で若干揉めている場合には,裁判所が離婚とそれに関する条件を審判という形式で一方的に判断し,離婚を認める場合があります。これを審判離婚といいます。たとえば,離婚をすること自体には互いに納得しているものの,養育費が月額3万円か,3万5000円かで揉めている場合,それを決めるために1年間くらいかかる裁判を行うことは当事者のためにもなりません。そこで,裁判所が職権で,養育費額を決定し,審判で離婚を命じることになります。
この審判に対しては夫婦双方,審判が告知された日から2週間異議を申し立てることができ,異議が出された場合,審判は効力を失うことになるため,実際上利用されることは極めて稀です(離婚全体の約0.1%程度になります。)。

5 ④裁判離婚について

調停が不成立になった場合でも,どうしても離婚したいときには,訴訟を提起して離婚を求めていくことになります。このように,裁判で離婚することを「裁判離婚」と言います。なお,最終的に和解で終結するか,判決で終結するかによって,「和解離婚」「判決離婚」と呼ばれることもあります。
訴訟の提起にあたっては,家庭裁判所に訴状という離婚を求める旨とその原因を記載した書面を提出することになります。裁判までなると,離婚原因があるか否か,各種請求が法的に認められるか否か,法律論の戦いになりますので,さすがに当事者が自分で進めることは極めて難しいでしょうから,弁護士に依頼した方がいいでしょう。
裁判離婚においては,離婚が認められるか否かを裁判官が判断するため,民法上の離婚原因が認められるか否かが最大の問題となります。そのため,夫のいびきがうるさいとか妻の寝相が悪いとかそういった理由では離婚をすることは極めて難しくなってしまいます。
もっとも,今までお話ししてきました協議離婚などとは異なり,,裁判所が法律上の離婚原因があると判断した場合には,たとえどちらかがどんなに離婚を望んでいなくても離婚が認められることになるという利点があります。では,どういった場合に,離婚が認められるのでしょうか,法律上の離婚原因について簡単にご説明しておきます。
法律上の離婚原因には,①不貞行為,②悪意の遺棄,③三年以上の生死不明,④強度の精神病に罹り回復の見込みがないこと,⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があることの5つがあります。やはり多く主張されるのは,浮気,DV等ですが,性格の不一致,高度のアルツハイマー,過度な宗教活動等の理由を離婚原因として主張する場合もあります。
なお,どんな場合に離婚できるかは事案によっても異なってきますし,真実そのような事情があったとしても,証拠をもって立証し,裁判官にその事実の存在を認めさせなければ勝訴判決は獲得できません。どのような事実をどの証拠でどのように主張立証していくかについては,法的判断を伴う専門的作業ですので,専門家である弁護士に依頼されることをお勧めします。

6 まとめ

 日本の法制度上は,協議離婚,調停離婚,審判離婚,裁判離婚のいずれの手続きについても,本人のみで行うことができるとされています。しかし,上記に述べたとおり,いずれの手続きについても,法律的な知識がどうしても不可欠になってきますので,離婚手続きに不安を抱かれている方は,離婚について詳しい弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
以上

 

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