離婚・親子問題

こんなやつと同棲できない!慰謝料って払わないといけないの?

2017.07.26
離婚・親子問題|弁護士ニュース

「私は,彼と結婚式を挙げましたが,諸々の事情から婚姻届を出さずに事実婚という選択をしていました。最近,彼とどうしても生活リズムが合わず,体調を崩してしまい,少し実家で療養していました。すると,彼から『夫婦関係を解消したい』との連絡が来たのですが,私はどうすればいいのでしょうか?私は彼との関係を解消しないといけないのでしょうか?彼との生活を支えるために仕事も辞め,専業主婦として暮らしていたので,今後の生活も不安で仕方ありません。」
今回は,こんな相談について,アドバイスをさせていただきたいと思います。

1 内縁関係ってなあに?

今回の相談者は,彼と夫婦として生活を共にしており,婚姻届を提出していないだけですので,内縁関係にあると言って差し支えないでしょう。(本来は,彼との出会いから現在に至るまでの生活など,多種多様な事情をお伺いして,内縁関係と認めるに足りるかどうか,詳細な検討が必要ですが,今回は内縁関係にあるという前提でお話を進めさせていただきます。)
内縁とは,婚姻意思をもって共同生活を営み,社会的には夫婦と認められているにもかかわらず,法の定める婚姻届出手続をしていないため,法律的には夫婦と認められない男女の関係をいいます。
ここで,内縁関係にあるといえるかは,夫婦共同生活の実態とその継続性,性的関係の継続性,妊娠しているか否か,家族や第三者への紹介,見合い・結納,挙式など慣習上の婚姻儀礼の有無などから,実質的に夫婦と言えるかどうかを判断することになります。

2 内縁を解消したら慰謝料って発生するの?

 内縁とはいえ,婚姻届を提出している他の夫婦と同様の夫婦共同生活を営んでいるのですから,これを解消するとなれば,内縁解消を告げられた方は相当の精神的苦痛を伴うことが当然でしょう。そのため,内縁を解消された人の精神的苦痛を慰謝するため,内縁関係を正当な理由なく解消した人は,相手方に対して損害賠償責任を負うことになります。そのため,慰謝料が発生するか否かは,「内縁関係の解消に正当な理由があるかどうか」によって結論が変わります。
 ここで,「正当な理由の有無」は,内縁開始から解消に至るまでの各種事情や当事者双方の行為を総合的に考慮して判断することになります。このときヒントとなるのが,民法770条1項が定める離婚原因です。内縁とは,前述の通り,婚姻届を提出していないために法律婚としては認められないものの,実質的には法律婚の夫婦と大差ないため,法的保護を及ぼそうという考え方です。だとすれば,内縁を解消する際の物差しは,法律婚である婚姻を解消する離婚の場合と足並みを揃えて考えなくてはなりません。そこで,裁判所は,離婚の場合を参考にして,不貞行為,悪意の遺棄(たとえば,同居しているのに生活費を渡さないこと等がこれにあたります),虐待,侮辱,強度のヒステリー,異常な性欲などの事情が存在する場合は「正当な理由がある」と判断する傾向にありますが,性格の不一致,家風に合わないこと,健康状態や内縁成立前の経歴などの事情は「正当な理由がない」として,慰謝料の支払義務を認める傾向にあります。

3 内縁関係って正当な理由がないと解消できないの?

 話しは少し逸れますが,内縁関係を解消したことで慰謝料が発生するかどうかではなく,内縁関係を解消すること自体にも,正当な理由が必要なのでしょうか?
 先ほどの「慰謝料が発生するかどうか」という問題では,離婚の場合と足並みを揃えて考えましたが,「内縁関係を解消できるか」という問題は別です。離婚の場合は,離婚届を提出しないと離婚が成立せず別れることができませんし,そのためには相手方から署名押印をしてもらわないといけません。しかし,内縁関係は事実上の関係ですので,一方的に関係を絶ってしまえば,正当な理由が無くても内縁関係を解消すること自体は可能です。あくまで,「内縁関係を解消できるか」と「慰謝料が発生するかどうか」は別問題なのですね。

4 相談への回答

 今回の相談の場合には,結婚式を挙げたうえで一緒に暮らしているのですから,内縁関係の存在が認められる可能性は高そうです。
 そして,相手の体調が崩れ,実家で一時療養していることをもって内縁を解消することは,正当な理由があるとはいえません。(本来は,彼から詳細な事情を聴き取り,内縁を解消する理由が何なのかをもっと明確化しないといけませんが。)
 そのため,気持ちが離れてしまった以上,内縁関係は解消せざるを得ないかもしれませんが,内縁関係解消に伴い,財産分与請求はもちろん,不法行為として慰謝料の請求をすることができると思われます。
内縁関係解消の場合,婚姻とは違うからという理由で,あまり専門家に相談することなく進むケースが散見されます。しかし,前述の通り,内縁と婚姻はほぼ同等に法的保護に値しますので,内縁を解消する場合には,離婚するときと同じような段取りが必要となるものです。そうなると,財産分与・養育費・婚姻費用・慰謝料など多種多様な法的問題が発生することが通常ですから,必ず経験豊富な弁護士に相談されることをお勧め致します。
以上

 

困ったときに頼りたい安心の弁護士ニュース