借金問題

破産手続で免責が不許可になってしまうのはどのような場合ですか。

2017.09.23
借金問題|弁護士ニュース

破産手続で免責が不許可になってしまうのはどのような場合ですか。

1 免責不許可事由とは?

 破産法は、個人の破産の場合、借金を免除する免責という制度を設けています。免責制度は、誠実な債務者に対して経済的更生を支援するために認められる制度ですので、不誠実な債務者の場合には免責は許可されません。破産法は、以下の通り11項目を免責不許可事由として定めており、これに該当する場合は原則として免責不許可となります。そこで、今回は、どのような事由が免責不許可事由に該当するかについて、ご説明していきたいと思います。

<破産法が定める免責不許可事由・252条>

①債権者を害する目的で行われた破産財団の価値減少行為
→配当の引き当てになるべき財産を所在不明にしたり、損壊する等、債権者を害する行為がこれに該当します。
  なお、「債権者を害する目的で」という要件がありますが、財産の隠匿や損壊については、その行為自体が債権者を害する行為であることが明らかですので、行為態様から当然に債権者を害する目的が認められると考えられています。
  他方で、廉価販売等については、資金繰りに迫られてやむを得ず行う場合もありうるため、債権者を害するという積極的な目的が必要だと解されています。

②破産手続開始を遅延させる目的で行われた不利益処分等
 →たとえば、クレジットカードで商品や金券等を多数買い込み、これを換金ショップや質店で換価して現金を入手する場合等がこれに当たります。

③特定の債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で行われた偏波弁済、担保提供、非義務行為等
→簡単に言うと、経済的危機の状況下において、特定の債権者に対してのみ弁済をしたり、担保を提供したりする行為がこれに該当します。これは、債権者の公平を害する行為ですので、否認行為の対象にもなっています。

④浪費、賭博、射幸行為等による著しい財産の減少や過大な債務負担。
→「浪費」とは、「支出の程度が社会的許容範囲を逸脱すること」を言うと考えられています。買い物のし過ぎや、収入に見合わない高額な物の購入がこれにあたります。
また、ギャンブルや投資の失敗でできた借財については本号に該当します。

⑤破産手続開始申立日の1年前の日から破産手続開始決定日までの間に、破産開始原因があることを知りながら、債権者に対し、当該事実がないと信じさせるために詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
→例えば、自分が破産予定でありながら、その事実を隠した上で、負債内容について虚偽の説明をして新たに借り入れをするケースなどがこれに当たります。なお、ここでいう「詐術」には、積極的に噓をついて債権者を誤信させる行為は当然含まれますが、単に破産原因や負債内容を秘匿し、何も言わないまま取引をしたケースまでこれに含まれるかについては争いがあり、下級審裁判例も判断が分かれています。

⑥帳簿等の隠滅、偽造等
→故意に財産関係書類等を隠滅、偽造する行為がこれにあたります。

⑦虚偽の債権者名簿の提出
→本当は債権者として載せるべき者を故意に名簿から外す行為がこれにあたります。
なお、うっかり名簿に載せ忘れた場合は、免責不許可事由には該当しませんが、当該債権者にとってが、免責についての意見陳述の機会が奪われてしまうため、当該債権については非免責債権になります。

⑧裁判所による破産手続上の調査に対する説明拒否・虚偽説明等。
 →破産手続に協力しない不誠実な債務者は、免責の制度趣旨に照らして免責不許可とすべきと考えられるからです。

⑨不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
 →⑧と同様の理由で免責不許可事由とされています。

⑩過去に免責許可決定を受け、それから7年以内であること
→過去に破産手続で免責を受けたり、民事再生手続における再生計画の認可やハードシップ免責を受けている場合には、一度経済的更生の機会が与えられている以上、一定の期間の間は再度の免責申立てを制限する趣旨で、免責不許可事由とされています。

⑪ 破産者が破産手続上負っている各種の義務(説明義務、重要財産開示義務、免責手続における調査協力義務等)に違反した場合
→⑧と同様の理由で免責不許可とされています。

2 免責不許可に該当した場合、もう免責されないの?

 以上の通り、破産法は多数の免責不許可事由を規定していますが、免責不許可事由に該当したとしても、免責の可能性は0ではありません。裁判所は、破産に至った経緯やその他一切の事情を考慮して、免責を許可する場合もあり、これを裁量免責の制度といいます。裁量免責は、その名の通り裁判所の裁量により決まりますので、明確な基準はありませんが、結局は、免責制度の趣旨(誠実な債務者の経済的更生の支援)に照らし、救済すべきかどうかという観点から判断されています。なお、裁量免責については、別記事で詳述しておりますのでそちらをご覧下さい。

3 まとめ

 以上の通り、免責不許可事由に該当するからといって、直ちに免責されないわけではありません。しかし、なぜ免責不許可事由に該当する行為をしてしまったのかについて、裁判所から厳しく追及されることもありますし、裁量免責が認められずに免責不許可になってしまう可能性は残ります。免責されなければ破産する実益は乏しいですので、破産をお考えの方は、早いうちに一度破産を専門とする弁護士に相談し、免責不許可になるおそれがないか、不許可事由がある場合は裁量免責獲得に向けて今後どういった対応をすればいいか等について助言を得ておくことをお勧めします。

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