借金問題

工事を委託していた請負会社が破産しました!残りの工事はどうなるの?

2017.09.29
借金問題|弁護士ニュース

工事を委託していた請負会社が破産しました!残りの工事はどうなるの?

【Aさんの相談】
私は、某建築会社に建物の工事を依頼していましたが、先日、当該建築会社が破産してしまいました。まだ残工事が半分くらいあるのですが、請負会社が破産した場合、残工事は引き続き行ってもらえるのでしょうか。

今回の工事は、コストを可能な限り抑えて低価で行ってもらっていため、もし他の業者に頼まなければならないとすると、追加費用が発生してしまいます。これは損害として破産会社に請求できるのでしょうか。また、契約時に一部代金を支払い、完成時に残代金を支払う契約内容になっていたのですが、残代金についてはどうなるのでしょうか。

工事途中で工事会社が破産した場合、Aさんのように様々な点が問題になります。そこで、今回は、請負会社が破産した場合、残りの契約がどう処理されるのかについてご説明したいと思います。

1 残工事の継続の可否

請負会社が破産した場合、契約を解除するか、残工事を引き続き行うかは、請負会社の破産管財人が決定権限を有しているので、基本的にはその判断に従うことになります。もっとも、請負業務の内容が破産者本人しかできず、第三者に代わりに行ってもらうことができないような仕事などについては、破産管財人は契約を解除することができないとされていますので、引き続き契約内容の履行を求めることができます。
本件のAさんのように、建物の建築工事については、他の請負業者を手配することが可能でしょうから、管財人が契約を解除した場合は、履行継続を求めることはできません。

2 中途解除した場合の出来高と請負代金の処理

請負契約を中途で解除した場合に、解除時点での出来高が、それ自体で価値のあるものであれば、注文者はその出来高に応じた請負代金を支払い、出来高を引き取り、未履行部分については他の業者を手配して請負契約を締結することになります。
ここで、仮に請負代金を既に一部支払っている場合、支払済みの請負代金と出来高部分の金額が一致していれば問題ないですが、支払済みの金額の方が多く注文者が払い過ぎの状態になっている場合は、払い過ぎた代金分を取り戻すことができるのかが問題になります。

これについては、管財人が契約を解除した結果、注文者において払い過ぎの状態が生じている場合は、その払い過ぎ部分は財団債権として(=破産手続終了時の配当という形ではなく、すぐに)返還を求めることができるというのが判例の立場です。
そのため、例えば、契約時に1000万円を支払っていましたが、契約解除時点では、300万円分しか工事が終わっていない場合には、払い過ぎた700万円については、管財人の管理する財産から返してもらうことができます。
 他方で、出来高部分の金額に足りない場合には、注文者は足りない請負代金について、引き続き管財人に支払う必要があります。例えば、契約解除時の出来高が1000万円の価値がある場合で、注文者が300万円しか支払っていない場合は、残りの700万円については、未払請負代金として、注文者は管財人に対して支払う義務があります。

3 解除により生じた注文者の損害賠償請求権

Aさんの場合、請負契約が中途で解除すると、他の業者を手配する必要があり、その場合は当初の契約代金と比べ、追加支出が生じてしまうため、損害が発生することになります。
このように、請負契約の中途解除により注文者に発生した損害については、破産者に対してその賠償を求めることはできるのでしょうか。
これについては、管財人による解除の場合は、それによって損害が生じた場合、注文者は破産者に対して損害賠償請求ができるとされています。但し、その場合の損害賠償請求権は破産債権となるため、請求するためには届出をして破産手続に参加しなければならず、回収は配当という形でしか実現できません。

4 損害賠償請求権と請負代金支払債務との相殺の可否

 それでは、注文者は、請負人の破産による契約解除で生じた損害賠償請求権を自働債権として、未払いの請負代金支払債務との相殺を主張することはできるのでしょうか。例えば、注文者は破産者に対し、未払請負代金として200万円の支払い債務を負っているものの、注文者としては、解除による追加工事で300万円の損害を被っており、両者を相殺して未払請負代金請求を拒否することはできるでしょうか。
 これについては、最高裁の判例はなく、解釈に争いはありますが、否定する裁判例が多数です。その理由としては、破産管財人による契約解除で生じる損害賠償請求権は、破産開始決定後に生じる請求権であり、破産法は、破産手続開始後に生じた請求権を自働債権として相殺することを禁じているからです(破産法71条1項1号)。
東京地方裁判所平成24年3月23日判決も、同様の理由で、注文者側からの相殺の主張を排斥しています。

5 まとめ

 以上のとおり、請負人が破産した場合、残代金の処理や契約の履行を巡り様々な法律問題が生じます。請負人の破産でお困りの方は、破産手続に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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