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労働基準法とは? ~労働契約編~

2019.02.20

企業に務める上で遵守されるべき「労働法」や「労働基準法」ですが、そもそも労働基準法とはどんなものなのか、またどのような場合に違反となるのか、今回は事例を踏まえながらご紹介します。

1.労働基準法とは?

そもそも労働法とは何か、労働基準法とは何かをお話した上で進めていきます。

労働法とは、労働者の権利を保護し生存を保障するための法律のことを指します。中でも、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の3つを、労働法の最も基礎となる法律として、労働3法としています。
労働基準法は憲法27条「労働権」の規定に基づいて1947年に制定されました。
例外もありますが労働者を守るための「最低限」のことを定めた法律にあたります。

ここで何か引っかかったでしょうか。
それは「最低限」という部分ではないでしょうか。

この法律は守ることが当たり前であり、法律の基準を下回ると違法となってしまいます。
労働基準法を下回る労働条件は無効となりますが、その場合無効とされた部分に関して労働基準法の基準が自動的に適用されることとして労働者の保護を図ったのです。

このことを踏まえて、具体的に労働基準法に何が規定されているのか見ていきましょう。
労働基準法では主に以下のことが規定されています。

働く上で事業主にとっても労働者にとっても重要なことばかりです。

今回は労働契約について見ていきましょう。

2.労働契約のルールと記載すべき事項

<契約期間>
労働契約は双方の合意に基づき締結されるものですが、その期間というものに制限があります。無期雇用の場合は問題ないのですが、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほか、3年を超えて締結してはなりません。
ただし、例外というものがあります。専門的な知識・技術・経験が必要とされている業務に就く場合、若しくは満60歳以上の方についての契約は5年まで可能となっています。

また、雇用をする際には、労働条件の明示が義務付けられており、これを明示する書類を労働条件通知書と呼びます。
そして、この通知書の交付により明示すべき事項は決まっています。
このような義務付けられた明示事項を絶対的明示事項と言います。

・労働契約期間
・有期労働契約者の場合は更新する場合の基準
・就業場所、従事すべき業務
・始業、終業時刻、所定労働時間外労働の有無、休憩、休日、休暇
・賃金の決定、計算方法、支払方法、賃金の締切日及び支払日、(※昇給)
・退職に関する事項です。
※なお、昇給に関しては書面の交付は必要ありません。

これに対して、相対的明示事項というものがあります。
これは定めがある場合には明示しなければいけないものですが、絶対的明示事項とは異なり口頭による説明のみでも問題ありません。

・退職手当に関する事項
・賞与、最低賃金に関する事項
・食費、作業用品に関する事項
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償、業務外の傷病扶助
・表彰及び制裁
・休職

では、労働条件を明示していなかったことを理由として、会社側に不利な判断がなされた事例を見てみましょう。過去に以下のような労働審判がありました。

3.過去の判例から見るポイント

従業員が、自身の勤める会社とは別の職場への出向命令を受けました。
この命令が従業員の同意なしに行われたことについて、違法であるとして争われた事案です。

この労働審判において、争点は、出向命令の有効性でした。

・出向命令の根拠

裁判所は、本件が、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合」に当たるか否かを検討するに、就業規則において、「従業員に対し業務上の社外勤務をさせることがある」と定めていること、従業員に適用される労働協約において、社外勤務の定義、出向期間、出向中の社員の地位、賃金、退職金、各種の出向手当など出向者の処遇に関して出向者の利益に配慮した詳細な規定が設けられていることからすれば、個別的同意なしに、従業員としての地位を維持しながら、その指揮監督の下に労務を提供することを命ずる本件出向命令を発令することができるというべきであると判断しました。
(最高裁平成11年(受)第805号平成15年4月18日第二小法廷判決・最高裁判所裁判集民事209号495頁参照)

・注意すべきポイント

この裁判の重要なポイントは
①就業規則に出向について定めているか
②労働協約に出向に関する具体的な待遇について定めていたか
③出向元と労働契約関係が存続しているか
➃出向の必要性と人選に関する正当性の有無

など上記の点から判断された事例です。

結果、この出向命令に違法性は無いとして、請求は棄却されました。
労働契約にて就業場所の記載欄に、今後の転籍や出向についての記載があれば裁判自体、十分に防げたかもしれません。
すべてのことを網羅的に記載することは難しいかもしれませんが、こういった穴を1つひとつ埋めていくことが必要になってくるでしょう。

4.まとめ

近年、労働に関するニュースは報道される度に注目されています。
特に問題として多く取り上げられてきたのが、労働時間に関する問題及びそれに付随してくる賃金(残業代)の問題です。
様々な労働問題が発生した際は、労使間にて対等な立場で決定していくことが理想ですが、性質上どうしても使用者側が優位になっていることが現状です。
なるべく労働問題が発生しないように、注意すべきポイントで述べたように雇用契約書や諸規則を度々見直し、改善していくことが大切なのです。