企業関連

労働基準法とは?~労働契約の終了「解雇について」~

2019.04.22

昨今、社会的に未払い残業代紛争と不当解雇紛争が増加しています。
一昔前の企業であれば、「従業員が、仕事ができない」、「会社と従業員の価値観が合わない」、「従業員がなんとなく会社に馴染めない」などの理由でも解雇が往々にして行われていた時代でした。
しかし、現代においては、そのような安易な解雇は許容されません。そのため、会社としてはどのような場合に解雇してはならないのか、解雇するとしてもどのような手続きが必要なのか、解雇後の手続きなどを把握していなくてはなりません。
労使紛争を未然に防止するために、ルールと注意すべき点についてお伝えしていきます。

前回の記事を読む→「労働基準法とは?~不当な身柄拘束の禁止~

1.解雇とは?

「解雇」とは、使用者の一方的意思表示による労働契約の解除のことです。従業員が一定の状況にある場合は解雇を許容することが極めて過酷な場合もあります。
また、突然の即日解雇では従業員の日常生活に及ぼす影響が大き過ぎます。
そこで、解雇に関する規制として、主に、以下の2種類があります。
・解雇制限
・解雇予告

(1)解雇制限とは

「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。」と労働基準法第19条で記載されています。

このような一定の状況においては、従業員が弱い立場に陥っていますので、解雇によってより窮地に追い込むことを防止する必要性があります。
※打切補償を支払う又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能な場合を除きます。

①この30日という期間内に業務上の負傷をした場合
出勤した日若しくは出勤できる状態までに回復した日から30日の起算

②この30日という期間内に産前産後の女性が休業した場合
産前(6週間・多胎妊娠は14週間)産後(8週間)から30日の起算

ただし、※で記載していますように次の場合は解雇制限期間でも解雇できます。
・打切補償…療養開始後3年経過し、使用者が平均賃金の1,200日分の補償を行う場合(労働基準監督署長認定不要)
・天災事変により事業の継続不可能な場合(労働基準監督署長認定必要)

(2)解雇予告とは

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。また30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りではありません。
予告の日数は、平均賃金を支払った場合、支払った日数分について短縮することができます。

① 少なくとも30日前の予告
② 30日分以上の平均賃金
③ ①と②の併用

2.解雇する際のルールと注意すべき事項

即時解雇の場合、解雇予告手当は解雇通知と同時で支払うべきと定められています。
また、解雇予告期間が満了する前に、従業員が業務上のケガをして休業を開始した場合はどのように対応すれば良いでしょうか。

この場合、解雇予告の効力の中止であって、休業が長期になり効力が失われたと認められる場合を除き、治癒後に改めて解雇予告の必要はありません。

解雇期限到来後、解雇を延期した場合は同一条件で労働契約がされたものと解され、その後解雇する場合は改めて解雇予告をする必要があります。

■解雇予告が必要ない場合(所轄労働基準監督署の認定必要)

① 天災事変その他やむを得ない事由(事業継続不可能)
② 労働者の責に帰すべき事由

■解雇予告は日雇い・2ヶ月以内の期間労働者・季節的業務に4ヶ月以内の期間雇用者・試用期間中の者は適用されません。

① 日雇い(例外…1ヶ月を超えて使用された場合)
② 2ヶ月又は季節的業務に4ヶ月(例外…所定の期間を超えて使用された場合)
③ 試用期間(例外…14日を超えたら解雇予告必要)

退職時の証明書

① 使用期間
② 業務の種類
③ 地位・役職
④ 賃金
⑤ 退職の事由(解雇の場合)

この退職時の証明書に記載する事項についてですが、労働者の請求しない事項については記載してはいけないことになっています。必ず上記に記載してあることを入れないといけないということではありませんのでご注意をお願い致します。

3.まとめ

このように、解雇については様々な規制があります。そもそも解雇事由が認められるかどうかで争いになるケースもありますが、解雇制限・解雇予告・退職理由証明書などについて紛争化するケースも見受けられます。

これらの紛争に発展しないよう、会社ではルールを明確に認識しながら手続きを行うことが重要です。