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労働基準法とは? ~賃金の支払いについて~

2019.05.29

昨今、採用市場は売り手市場化が進み、企業は必要な人材を確保することが極めて難しくなってきています。また、ブラック企業に対比して、「ホワイト企業」という言葉が広まり、年間休日が多い・離職率が低い・残業が少ない・福利厚生が充実しているなどの様々な労働条件だけでなく、仕事内容、職場の雰囲気などが重要な時代になってきました。
そして、これらを適切に伝えることで、採用力を向上させることが大切です。その中でも今回は生活していく上で大切な給料についてお話していきます。

1.賃金におけるルール(原則)と注意すべき事項

賃金におけるルールというものが労働基準法第24条で定められています。

①通貨払いの原則
②直接払いの原則(本人名義の口座等)
③全額払いの原則
④毎月1回以上払いの原則(月に1回は振込を行うこと)
⑤一定期日払いの原則(毎月支払日がばらばらではいけない)

上記が、賃金の支払いの5原則と言われるものです。
では、これらを一つずつ説明していきます。

➀通貨払いの原則

賃金は必ず通貨(国内で通用する貨幣)でないといけません。したがって、外国通貨や小切手は通貨と認められませんし、ましてや現物での支払いもできません。しかし、一般的な会社であれば、現金で手渡しではなく銀行振込で給与を支給するのが通常でしょう。そのため、銀行振込で支払いをする場合には、従業員の同意を得た上で行わなくてはなりませんので、銀行振込に関する労使協定を締結しておきましょう。

②直接払いの原則

従業員に対する賃金は、従業員本人に支払わなくてはならないという原則になります。本人に直接支払えないような場面に出くわす可能性がありますので、緊急時にどのように支払うのかも決めておいた方が良いでしょう。
例外…使者(本人の意思を伝達する者。例えば労働者が療養中で、家族が賃金を受取る場合など)

③全額払いの原則

賃金はその全額を支払わなくてはなりません。賃金の一部を無断で差し引いたり、会社の立替金を勝手に相殺したりすることはできません。ただし、社会保険料や源泉所得税、住民税など、法律で認められているものを差し引くことはできます。
なお、会社が一方的に相殺することは禁止されていますが、従業員本人の承諾の下、従業員が会社に対して負っている債務と相殺することは構いません。その場合には、きっちり相殺に関する同意書を作成するようにしましょう。

④毎月1回以上払いの原則

賃金は少なくとも毎月1回は支払わなくてはいけません。一方で臨時給・賞与などには、この原則は適用されませんので混同しないようにしてください。注意事項として、月給制だけではなく、年俸制を採用していても毎月1回は支払わなければいけませんので、気を付けましょう。
補足ですが新入社員(4月1日入社)の場合、給料が入るのが1か月以上先という企業が多々あります。例えば新入社員が月末締め翌月10日払いの会社に入社したとして4月勤務分が5月10日に支給されるような場合です。この場合は原則に該当しないというのが通説になっています。理由としては入社月に支払義務の生じる賃金債権自体が発生していないためです。
通常の会社であれば、月に一度は給料日があるでしょうから、それほど気にしなくて良いでしょう。

⑤一定期日払いの原則

賃金は毎月一定の期日を定めて、支払わなければいけません。なぜなら、賃金の支払日が毎月変動すると労働者の生活自体が不安定になるためです。支払日(期日)については特定できれば差し支えありませんが、「毎月第〇・〇曜日」とするという定め方では、月により支払日が異なり、期日が特定できないため認められません。したがって、「毎月15日」「月末」といった定め方が必要です。

2.賃金の支払いの5原則ポイント

上記で説明した賃金の支払いの5原則は、違反した場合に罰則が設けられており、労基法上遵守することが義務付けています。
では、会社が従業員に対して支払うものは全て「賃金」として、上記5原則が適用されるのでしょうか。「賃金」と評価されるためには、➀労働の対償かどうか、➁使用者が支払うものかどうかを検討しなくてはなりません。

次に、「賃金」に該当するとしても、上記5原則が適用されずに例外的に控除が認められているものがあります。つまり、労働基準法第24条1項は、法令に別段の定めまたは労使協定のある場合に賃金の控除を認めています。これは、公益上の必要があるもの及び社宅料や購買代金等の明白なものについてのみ例外を認める趣旨であると説明されています。

3.まとめ

賃金の支払いの5原則はいかがでしたでしょうか?今回は賃金の支払いに関してまとめました。基本的には賃金の支払いの5原則を遵守し、労働者に対して支給することが大切です。もし、原則通りに支給できないのであれば、事前に労働者との間で個別に労使協定を結んでおき、事前に対策しておくことが必要でしょう。
知っているようで、意外と知らないことがあったのではないでしょうか?

この法律は労働者を保護し生活を安定させるために生まれた法律です。
理解しづらい部分もあるかと思いますので、そういった場合は管轄の労働基準監督署や労働局に尋ねてみるのも一つの方法です。そこで一歩を踏み出すことがより良い会社を創る上で大切なことだと思います。従業員や会社の成長のために、会社の規則を見直すきっかけの一助となれば幸いです。