生前の相続対策

遺言書作成の証人とは

2021.05.27
遺言書作成の証人とは

遺言書を作成する際に、証人が必要になる場合があることをご存じでしょうか?また、証人は誰でもなれるという訳ではありません。
今回は、遺言書作成の証人についてお話させて頂きます。

1.遺言書作成における証人

自筆証書以外の方法による遺言(公正証書遺言、秘密証書遺言、危急時遺言、隔絶地遺言)においては、遺言者に人違いがなく、遺言者の真意であることを証明し、又は遺言の作成を明確にして、後日の紛争を未然に防止するために、作成にあたって証人が必要とされています。

公正証書遺言においては、証人が2人以上立ち会った上で、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、遺言者と証人が、筆記が正確であることを承認した後、各自これに署名し印を押します。

ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。そして、公証人が、その証書が以上の方式に従って作ったものである旨を付記し、これに署名し印を押します。

秘密証書遺言においては、遺言者が遺言に署名し印を押し、その遺言を封じて遺言書に用いた印章を以て封印し、封書を公証人1人及び証人2人以上の前で提出します。

そして、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述して、公証人がその遺言書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し印を押します。

2.証人になることができない人

遺言書作成における証人の趣旨からすると、証人となるのに一般的な能力が無い者、又は遺言に関して利害関係を有し、又は遺言に関し特殊な地位にある者については、証人となるに不適切であるといえます。そこで、証人になることができないとされる者は法律で決められています。

【証人になることができない者】
⑴未成年者
未成年者は証人になることができません。ただし、婚姻によって成年に達したとみなされる未成年者は証人になることができると解されています。
⑵推定相続人及び受遺者並びにその配偶者及び直系血族
推定相続人とは、現状のままで相続が開始されれば、直ちに相続人となるはずの者(つまり、法定相続人のうち最優先順位にある者をいいます。)
⑶公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

3.証人に関する問題

上記のほか、事実上証人となることができない者が考えられます。証人は署名する必要があるので、署名をすることができないものは証人となることができません。また、証人は、口授の内容が正確に筆記されていることを証明する必要があるので、意思無能力者や耳が不自由な方などは、事実上承認となることができないとされています。

証人に関する問題について判例があるので、ご紹介致します。
公正証書作成の際に甥である盲人が証人となったことについて、判例は

「盲人は、民法974条にあげられている証人としての欠格者には当たらない。
盲人は、視力に障害があるとしても、通常この一事から直ちに証人としての職責を果たすことができない者であるとしなければならない根拠を見出し難いことも以下に述べる通りであるから、公正証書遺言に立ち会う証人としての適正を各事実上の欠格者であるということもできないと解するのが相当である。
すなわち、公正証書による遺言について証人の立会を必要とすると定められている所以のものは、証人をして遺言者に人違いがないこと及び遺言者が正常な精神状態のもとで自己の意思に基づき遺言の趣旨を公証人に口授するものであることの確認をさせる。
このほか、公証人が民法969条3号にあげられている方式を履践するため筆記した遺言書の口述を読み聞かせるのを聞いて筆記の正確なことの確認をさせたうえ、これを承認させることによって遺言者の真意を確保し、遺言をめぐる後日の紛争を未然に防止しようとすることにある。
一般に視力に障害があるにすぎない盲人が遺言者に人違いがないこと及び遺言者が正常な精神状態のもとで自らの真意に基づき遺言の趣旨を公証人に口授するものであることの確認をする能力まで欠いているということはできないことは明らかである。
また、公証人による筆記の正確なことの承認は、遺言者の口授をしたところと公証人の読み聞かせたところをそれぞれ耳で聞き両者を対比することによってすればたりるものであって、これに加えてさらに公証人の筆記したところを目で見て、これと前記耳で聞いたところを対比することによってすることは、その必要がないと解するを相当とするから、聴力には障害のない盲人が公証人による筆記の正確なことの承認をすることができない者にあたることのできないこともまた明らかである。」

として、目の見えない人は証人となることができないものではないとしました。(最高裁昭和55年12月4日)

また、証人となることができない者が同席してなされた公正証書遺言の効力について、判例は

「遺言公正証書の作成に当たり、民法所定の証人が立ち会っている以上、たまたま当該遺言の証人となることができない者が同席していたとしても、この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど特段の事情のない限り、当該遺言公正証書作成手続きを違法ということはできず、同遺言書が無効となるものではないと解するのが相当である。」

として、特段の事情がない限り遺言は無効にはならないと判示しました。(最高裁平成13年3月27日)

4.おわりに

今回説明させていただいた遺言書作成の証人のように法律で決まっている遺言書作成のルールについて、ご不明な点がございましたら、専門家にお問合せください。