生前の相続対策

自宅の建て替えを考えてるから、建て替えてから遺言書を書こうかな!

2021.01.16

最近は遺言書の書き方に関する本が本当にたくさん出版されています。専門家に依頼せずとも、本屋さんで遺言書に関する本を購入して、それを読みながらご自身で自筆証書遺言を書かれているケースもかなりの数あるでしょう。
と言いますか、むしろ専門家に依頼をして文案を作成してもらうより、そちらのケースの方が多いのかもしれません。

そんな中、遺言書を書こうかなと思った時、自分が書きたい内容を実現するためにはどのような記載方法にしたら良いか、本屋さんで売っている本を読んでも書かれていないことがよくあります。
そのような本に書かれているのは、オーソドックスな内容であって、少しイレギュラーな内容になってしまうと書かれていないものです。

最終的にはイレギュラーな内容である以上、専門家に相談しながら文案を作成するのがベストなのは言うまでもありませんが、専門家に相談する前提として調べておきたい人もいるでしょうから、イレギュラーな遺言書の書き方をケースごとに紹介してみましょう。

1 遺言書は財産が固まってから書くべき?

お亡くなりになる間際でない以上、遺言書を書く多くの人が悩むことが「今から書こうとしている財産は自分が死ぬ時にも持っているだろうか?もしこの不動産を売却していたら。。。もしこの預貯金を使い果たしていたら。。。どうやって書けば良いのだろう?」こんなことを悩むものです。

確かにお亡くなりになる直前でない以上は、遺言書を書くときに持っている財産が実際お亡くなりになる時に現存していない可能性は十分にあります。
では、遺言書は全財産が固まってからでないと書けないのでしょうか?だとすれば万が一のための遺言書なのに、万が一が起こりそうになってからしか書けず、手遅れになるケースが多発してしまいます。

もちろん結論としては、全財産が固まってからでなくとも書く方法はいくらでもありますので、心配せず専門家に相談した上で早め早めに遺言書を作成しておくべきです。
では、後に財産の内容が変わりそうな時、どのように記載すれば良いでしょうか?

2 建て替えが先?遺言書が先?

遺言を書こうと思っている相談者は70歳、長男夫婦と二世帯で同居しています。
長年貯めていた貯金がかなりの額貯まっているため、将来の相続税対策の意味も込めて、元気なうちに長男のために自宅の二世帯住宅を新築として建て替えておきたいなと考えています。

そんな時、友人が遺言書を書いたことを知り、自分も遺言書を書いておきたいなと思ったものの、近いうちに自宅を建て替えようと思っていたため、遺言書の中にそれをどのように書けばいいか分からず困っていました。
遺言書を書いた友人に相談したところ、「不動産は登記簿に記載されている通り記載した方が良いとアドバイスを受けた。」と言っていたため、「じゃあ、実際に自宅を建て替えた上で新しい登記簿が完成してからでないと書けないな。でも今すぐ建て替えようと思っているわけじゃないから、建て替えが終わるまで遺言書を書くのを待った方が良いのかな?」と悩み始めました。

遺言書は、万が一の時のために書いておくものですよね。だとしたら、数年後に自宅をを建て替えようとして、実際に自宅の建て替えが完了するのを待っていては、その万が一が起こってしまうかもしれません。
それでは遺言書の意味がないので、自宅の建て替えが終わっていなくても遺言書を書いておく方が良いのは言うまでもないでしょう。
結局、結論としては絶対に遺言書が先です。その後に自宅の建て替えを行うのであれば、それに応じた書き方がありますので、具体的な記載方法をご説明します。

3 具体的記載方法

遺言書を書く際、その遺言書によって不動産の権利が移転しますので、どの不動産を誰に承継させるのか、不動産を明確に特定しなくてはなりません。
ですので、この友人が言っていた登記簿に記載されている通り記載した方が良いとのアドバイスは正しいものです。

例えば、「●●町の土地建物」等の書き方をした場合、その人にとっては特定の不動産を指しているのでしょうが、実際に相続登記を行う法務局の立場からすれば、その人がどこにどのような不動産を所有しているか知らないため、そのような記載方法では具体的にどの不動産のことを指しているか100%は分からないとなってしまいます。そうなると登記ができないため、相続人が困ってしまいますね。これを防ぐためにも、登記簿に記載してある情報をそのまま正確に記載するのがベストであることは間違いありません。

しかし、自宅を建て替える場合、建て替える前の自宅を取り壊して新しい建物を建てますので、新しい建物として登記されます。そうなると、完全に別の不動産として登記簿が完成しますので、建て替え前の不動産を遺言書に記載していても意味がありません。そこで、以下のような記載を行います。

第●条 遺言者は遺言者の有する次の不動産を遺言者の長男田中一郎(昭和●年●月●日生)に相続させる。
【不動産の表示】
割愛
2 遺言者が、相続開始時までに、前項記載の不動産以外の住居の用に供する建物及びその敷地を有していたときは、その建物及びその敷地を長男田中一郎に相続させる。

4 その他に気を付けること

上記のような遺言を正確に行っておかないと困るのが、相続税における小規模宅地等の特例です。
これは自宅の土地が8割減で評価できるため、相続税をかからなくするために最も有効的な特例の一つかと思います。
ただ、この特例を使うためには、父親と同居していた長男がその自宅の土地を相続しなくてはなりません。
万が一遺言書の書き方が不十分で、長男が相続出来なかった場合には多大な相続税が見込まれるため、細心の注意を払って遺言書を作りたいところですね。

5 まとめ

以上の通り、財産が固まっていなくても遺言書は書けますので、書こうと思った時に遺言書を書きましょう。ただ、その書き方は細心の注意を払わなくては、相続税において不利になることも考えられます。
やはり、どんなにイレギュラーな遺言書でも作成することはできますが、法律と税金に詳しい専門家にアドバイスを受けながら、その専門家が監修した文案を作成し、それをもとに遺言書を作るのがベストです。

当事務所は弁護士だけでなく、登記の専門家である司法書士や相続税の専門家である税理士も所属しておりますので、どんなにイレギュラーな内容だとしても完璧にサポートを行うことが可能です。
少しでも不安な点がある方は、是非思い立ったらすぐにご相談ください。

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