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生前の相続税対策

優遇措置を使おう(入門編)

2021.04.07

相続税をわれわれ税理士の視点から考えた場合、税法の優遇措置は数あれど、一般の皆さんからすれば、まず基本的な優遇措置をおさえられて、次に発展段階のものを検討するのが自然ではないかと思います。

そこで優遇措置といえども、敢えて入門編初級編中級編上級編に4分類し、皆さんの優遇措置への理解を深めて貰えればと存じます。
まず、今回は入門編と題して皆さんに馴染みやすくて分かりやすい「1.生命保険に加入しておく」と「2.墓地を買っておく」の2つの優遇措置をご紹介します。

1.生命保険に加入しておく

生命保険を使って資産を相続するのも基本的なテクニックの一つになります。
生命保険の被保険者が死亡した時に支払われる保険金は、相続税の課税対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。
法定相続人が1人なら500万円、2人なら1000万円までの保険金には税金がかからないということです。

相続税の基礎控除に加えて生命保険の非課税枠を使えば、税金ゼロで相続できる範囲が増えることになります。
相続対策としての生命保険には他にもメリットがあります。

まず、保険料を支払った分だけお金が減るので、相続財産を圧縮でき、相続税の節税になること。
そして、受け取り時には、契約者が支払った保険料以上の保険金を受け取れることです。

保険会社による保険金の支払いはわずらわしい手続きもなく速やかに実施されるので、遺族にとって安心材料となるばかりか、相続税の納税資金としても使うことができます。

また、生命保険は、遗産分割のトラブルを回避するのにも有効です。
たとえば、親の主な財産は自宅のみで、これを長男と次男の2人で相続するとします。
自宅を売却してそのお金を分配できれば簡単なのですが、長男が自宅に同居していて、この先も住み続けたいと考えていた場合は、それができなくなります。
かといって長男が自宅を相続して、次男の取り分がないと不公平です。

そこで生命保険金を活用します。
親が次男を受取人として相応の生命保険に加入しておくことで、長男には自宅を、次男には現金を残すことができます。
また、相続人がたくさんいる場合も、誰にいくら渡すかを決めて生命保険に加入しておけば、遗産分割のトラブルになることはありません。
生命保険にもいろいろな種類がありますが、一般的に相続対策としては、死亡保障が一生涯続く「終身保険」が使われます。
注意したいのは契約形態です。

生命保険の非課税枠の適用を受けるには、被相続人が契約者、被保険者、相続人が保険金受取人となる契約にする必要があります。
なお、加入する生命保険の数に決まりはありません。すべての相続人が受け取った保険金の合計額が非課税枠のなかに収まっていれば相続税はかかりません。

2.墓地を買っておく

金銭的な価値があっても相続税の対象とならない財産に非課税財産があります。
その一つが墓地墓石です。
お墓というのは、小さなものであってもかなり高額です。
株式会社鎌倉新書による「第8回お墓の消費者全国実態調査」によれば、お墓の購入総額、永代使用料、墓石代、その他費用の全国平均は181.5万円(2016年)となっています。

もし自分に入るお墓がない場合、自分が死んだ後に、残された家族にお墓を用意させることになってしまいます。
相続税の支払いに加えてお墓も買わなければならないとなれば、相続人にとっては大きな負担です。
自分が死んだ後に家族に負担をかけないためにも、生前にお墓を買っておくとよいでしょう。
「お墓なんて何でもいい」と考える人もいれば、「石材やデザインにこだわりたい」という人もいます。

多額の費用をかけた立派なお墓であっても、非課税財産なので相続税は一切かかりません。こだわりたい人は納得できるまでお金をかけて作るとよいでしょぅ。
かといって黄金やダイヤモンドでお墓を作れば、「金銭的価値がある」とされて相続税の対象となってしまいます。

また、やってはいけないのは、借金してお墓を作ることです。
相続財産を計算する際には、現預金や不動産などの財産からマイナスの財産、借金を差し引いて計算しますが、墓地墓石はそもそも財産に含まれないので、それらを購入した時の借金をマイナスの財産に含めることはできません。
無用な借金が相続人に残るだけになってしまいます。
お墓以外の非課税財産としては、仏壇仏具、神棚、神具があります。

また、保有する敷地に「お稲荷さん」や「お地蔵様」がまつられた祠がある場合も、その敷地部分は非課税となることがあります。

3.おわりに

ご紹介した生命保険金は、相続税申告書においては必ず保険契約書に記載された保険受取人の「みなし財産」になるということです。
この点はご注意されといてください。

しかし、非課税枠は法定相続人全体の数が使えるということですので、法定相続人の数が多くて保険金を多額に受け取った人はその非課税枠の恩恵が使えるから有利ですよね。

また、もう一つの墓地を買っておくも、修繕改装も含めて、どうせ、遅かれ早かれ手を入れる必要があるものは、結局、後日支出が伴いますから、今一度、現況を検討されておくことも節税に繋がっていくと思います。
この2つは、皆さんがすぐにでも、ご検討いただける案件だと思います。

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