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生前の相続対策

相続に関する法律と税金②~不動産はどう評価するの?~

2021.02.24

相続に関する問題で、弁護士が扱う「民法」と、税理士が扱う「相続税法」という異なる法律適用されることから、相続を取り扱う弁護士と税理士で異なった判断がなされるということについては、以前お伝えしましたが、今回から、その具体的内容についてご説明させていただきます。

1 はじめに

弁護士の分野と税理士の分野のいずれにおいても、相続財産について、「いつの時点での財産を」、「どのように評価するのか」という2つの点で問題なります。特に、財産を「どのように評価するのか」という評価方法については、弁護士の分野でも、税理士の分野でも非常に重要な問題です。

相続財産が現金や預貯金のみの場合には、評価方法について問題なることはありません。単純に、現金の額や預金の残高が相続財産の総額になるため、弁護士の分野でも税理士の分野でも特に問題になることはありません(いつの時点での預金や現金が対象になるかという評価時の問題はありますが、これについては別の機会にご説明させていただきます。)。

しかし、相続の問題になった際、相続財産が預貯金のみであるというケースは余り多くなく、不動産、有価証券、動産などのその他の財産の方が多いというケースが少なくありません。現金や預金の以外の財産、特に不動産については、その価値をどのように評価するのかによって、弁護士の分野では、遺産分割により取得することができる金額が異なり、税理士の分野では、相続税の金額が異なってきます。

このように、不動産についてどのように評価をするかは、弁護士と税理士いずれの分野でも重要になってきますので、今回は不動産の評価の方法についてご説明させていただきます。

2 4つの評価方法

不動産については、場面ごとに応じて不動産の価値を図る指標(評価方法)が異なり、その評価方法は4つあり(「一物四価」と言われています。)、「公示価額」「実勢価格」、「公示価額」、「路線価」、「固定資産税評価額」の4つがあります。まず、「公示価額」とは、1年に1回(3月下旬こと)、国道交通省から発表されるものであり、一般の人が土地の取引や資産評価をするにあたっての目安として発表される評価額であり、よく、ニュースで、「銀座●丁目の土地が日本で一番高い土地です」などと報道されるときの土地の価額は、この「公示価額」になります。

次に、「固定資産税評価額」は、各市区町村において個別に決める評価額であり、固定資産税、不動産取得税、登録免許税等を算出するために用いられます。公示価額とは異なり、3年に1回更新されます。

次に、「路線価」とは、「公示価額」と同様に年に1回発表されますが、国税庁から発表されるものであり、簡単にいうと、道路についている価格、すなわち、道路(路線)に面する標準的な宅地の1㎡あたりにおける価額をいいます。後述するように、路線価については、土地の相続税や贈与税等を算定するための基礎となります。

最後に、「実勢価額」ですが、上記3つは国や市区町村等公的な期間により作算定された価格でありますが、それとは異なり、当該不動産が実際に売買される価格すなわち時価のことを「実勢価額」といいます。

このように、不動産の評価方法については、何の目的の目的で利用するためのものであるのかという点で異なるため、同じ不動産であっても、それぞれの方法で算定される不動産の価額は異なることになります。例えば、固定資産税評価額は、公示価額等の70%を目安に決定され、路線価は、公示価額の80%を目安に決定されます。

3 相続税は路線価で評価

相続税に関しては、土地は、路線価方式に基づいて算定します(建物については路線価という概念がないので、固定資産税評価額で評価をします。)この点、相続税法22条では、「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は取得時における
時価による」と規定されていますが、「時価」については通達とよばれる運用指針によって、路線価方式により評価するとされています(路線価がない地域の場合には、固定資産税評価額を定められた倍率を乗じた倍率方式により評価します。)。

上記のとおり、路線価については、公示価額(実勢価額)よりも若干低く評価されることになるため、相続税の観点からすると、現金を所有しておくよりも不動産を購入することにより、所持している相続財産の価値が下がることになります。

4 遺産分割は時価で評価

上記相続税の場面と異なり、遺産分割等の弁護士の分野では、不動産の評価は基本的には時価で行うことになります。

もちろん、遺産分割の当事者において、不動産の評価について、固定資産税評価額等を基準に判断すると全員で合意すれば問題はありませんが、本当は、時価で判断すべきところ、他の相続から、固定資産税評価額を基準に遺産分割が進められ、本来貰える金額よりも低い金額しかもらえないというケースも少なくありません。

5 最後に

このように、相続税の分野と遺産分割の分野では、不動産の評価についても異なる評価方法が用いられます。相続の当事者になり、自らの適切な相続分を取得するためにも、相続財産に不動産が含まれる場合には、できる限り専門家にお問い合わせください。

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