生前の相続対策

生命保険を活用した相続税対策について

2021.02.15

平成25年度の相続税法改正により、平成27年1月1日以降に発生した相続の「遺産に係る基礎控除額」が引き下げられたことから、近年相続税のかかる人が大幅に増えています。

「自分や配偶者にもしものことがあったら相続税はどれくらいかかるのだろうか?」「相続税を支払えるだけの余裕があるだろうか?」「相続税対策をしておきたいが何から始めたらいいかわからない…」

相続税について上記のような不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

自分や配偶者の死後に相続税がかかることが分かっている場合、生前に相続税対策をしておくことはとても重要です。そして、相続税対策として最も一般的なものに、生命保険を活用した相続税対策の方法があります。

この記事では、生命保険を活用した相続税対策とそのメリットについてご紹介します。

1. そもそも相続税はどのような財産に課税されるの?

相続税が課税される財産には、「相続財産」と「みなし相続財産」の2種類があります。
「相続財産」とは、民法で定められた相続の対象となる財産のことで、現金・預貯金・不動産・有価証券等、被相続人が相続開始時に所有していた一切の財産(権利義務)を言います。

そして、民法上の相続財産ではありませんが、相続税を計算する際は相続財産とみなして相続税を課税する財産のことを、「みなし相続財産」といいます。

代表的なものとして、生命保険金、退職手当金があります。

生命保険金や死亡退職金は、被相続人の相続開始により発生するものであり、相続開始時に被相続人に帰属していた財産ではないことに加え、相続人に直接支給されるものであり、被相続人から相続人へ死亡によって権利が移転するものではありませんので、「相続財産」とは評価されません。

しかし、民法上では相続財産ではないものの、実際は被相続人の相続開始によって相続人が財産を取得することになるので、税法上では「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

2. 生命保険を活用することでどうして相続税対策になるの?

生命保険の死亡保険金を受け取った場合、保険料の負担者が誰なのか、保険金の受取人が誰なのかによって、かかる税金が異なります。

保険料の負担者と被保険者が被相続人で、その死亡保険金の受取人が相続人等である場合、相続人が受け取ることができる保険金は「みなし相続財産」として相続税が課税されます。

しかし、遺された相続人の生活保障という観点から、受け取った生命保険金のうち一定金額については、相続税が非課税となるよう定められています。

<生命保険金の非課税枠>

500万円×法定相続人の人数=非課税金額

・法定相続人の人数は、相続放棄した相続人がいる場合でも、相続の放棄がなかったものとみなして計算されます。実際に相続をした人数ではなく、法定相続人の人数になります。

・養子の場合、実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人までしか法定相続人の数に加えることはできません。

 

たとえば、法定相続人が3人の場合、生命保険金の非課税枠は1500万円となります。

相続開始時に1500万円を預貯金として所有していた場合、この預貯金1500万円は全て相続税の課税対象になりますが、法定相続人を受取人と指定した1500万円の生命保険に加入している場合、この生命保険1500万円は全て非課税となるのです。

3. 生命保険を活用して納税資金を準備しよう

生命保険を活用することによって、節税対策だけではなく相続税の納税資金を準備することもできます。

生前に節税対策を行い、相続税の負担を軽減することができたとしても、実際に相続が発生して相続税を納めるための資金が手元になければ意味がありません。

相続税は、原則として法定納期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月目の日)までに金銭で納付することになっています。なお、金銭で納付することが困難で、一定の要件を満たしている場合には、相続税を年賦により分割納付する「延納」と、相続財産で納付する「物納」の方法があります。

しかし、延納の場合は利子税が高くなりますし、物納の場合は物納できる財産にも制約があるため、金銭納付できるだけの資金を準備しておくことが理想です。

特に、不動産や自社株式等が相続財産の大半を占めており、現金に換価できる預貯金や有価証券等の財産が少ないといった場合には、事前に納税資金を準備しておくことが必要です。

このような場合に、あらかじめ相続開始時の納税額を予測した上でその納税額に見合う保険金額の生命保険に加入することで、納税資金を準備することが可能になります。納税資金を預貯金として積み立てていこうとすると、一定の金額に達するまである程度の期間が必要となり、相続開始時までに十分な金額を準備できる保証はありません。

しかし、生命保険の場合は、商品内容によって異なりますが保険料を支払った時点で保険金の支払いは確約されるため、相続開始時に確実に納税資金に充当することができます。

4. まとめ

この記事では、生命保険を活用した相続税対策についてご紹介しました。相続税対策という場合、相続税を安くする対策と捉えられることも多いですが、納税資金を確実に準備するというのも相続税対策ですので、検討しましょう。

相続税対策として生命保険を活用することは最も取り組みやすい方法として一般的によく知られています。

生命保険の活用以外にも相続税対策の方法について詳しく知りたいという方は、お近くの税理士や専門家に相談し、相続税について困らないようしっかり対策しましょう。